マグネシウム or アルミ。どちらのフレームセットが良いか迷ってます【サイパラ相談室】

サイパラ相談室

相談内容

【新規ご相談についてはこちら】
 自転車に関するお悩み,バイク購入に関するご相談

【購入したいと思ってる車種名は?】
 Vaast Bikes A/1 と Specialized Crux DSW

【主な使用目的は?】
 休日のロングライドやグラベル

【予算はいくらまで?】
 20万前後のフレームセット

【移動範囲は何キロ圏内?】
 60〜70kmが中心、最高100km前後

【身長/体重は?】
 180cm 75kg

【その他】
 ー

楽しく動画見させていただいております。
いつもありがとうございます。ロードバイクを初めて購入して2年が経った者です。

近所にグラベルが思いのほか多く、グラベルロードバイクを増車したいと思い、妻に相談したところ、「邪魔になるからやめて」と叱られました。
そこで、いっそのことオンロードもグラベルロードもどちらも良い感じに走れるバイクへ買い替えてしまおうということになり、グラベルロードやオールロードと呼ばれるようなバイクの検討をしておりました。

いろいろなバイクを検討するにあたり、ふと環境負荷が気になるようになりました。
製造やリサイクルのことを考えるとアルミやクロモリ、チタン、マグネシウムが良いかと思い、なんだかんだ結果的にVaast BikesのA/1とSpecializedのCrux DSWのフレームセット、いづれか2つに選択肢を絞り込めました。
しかし、まだまだ初心者である自分だけでなく、プロの方にもご助言をお聞きしてみたいと思いまして、今回相談させていただきました。
他におすすめな選択肢やお考えはございますでしょうか?
相談に乗っていただくとなるとなかなか厄介な内容かと思います。
お時間に余裕があればで構いませんので、どうぞよろしくお願いいたします。

ご相談者様への回答

バイク購入のご相談ありがとうございます。

レースに特化した戦闘力の高い専用モデルが必要ないのであれば、やはり何でもこなせるオールロードやグラベルロードは汎用性が高いため、多岐に渡る楽しみ方ができる便利な車種だと思います。

それから『環境負荷が気になるようになりました』とありました。そういった理由からカーボンは検討していらっしゃらないようですが、奥様の件といい、とてもお優しい人柄な方だと安易に想像できます。素晴らしいお考えだと思いました。

さて、ここからが本題です。
購入したい車種を2つに絞りましたということですね。『他にも候補はありますか?』ということでしたので新たに提案したいバイクも含めて、まずは検討車体を見ていきたいと思います。

1台目はVaast BikesのA/1です。
バーストバイクスは2019年にアメリカで設立された、まだ歴史の浅いスポーツバイクブランドのようです。親会社は*注1.NINER(ナイナー)を手掛けるUnited Wheels Inc.(ユナイテッド・ウィールズ)の傘下ブランドです。

で、今回検討されているA1というのはグラベルシリーズになるようです。オールロードの「A」ですね。他も見ていくとエアロロードバイクのR1や、シティサイクルのU1などが製造されているようでした。
このA1はフレームセットの販売があって価格は税込で217,800円です。メイン素材は*注2.マグネシウムですが、フロントフォークはカーボン製でした。自転車の製造においてマグネシウム素材はニッチな部類に当てはまりますが、バーストバイクスでは主な素材として使用されているようです。

全体的にクロモリよりも軽量で、アルミより頑丈で、カーボンより長持ちするといったような、あらゆる面で優位性があるようです。デメリットとしては腐食に弱いとか、溶接や加工が難しいとかがあるそうです。ですがバーストバイク曰く、昨今の技術によって腐食は改善されているとのことです。

*注1:29er MTBのパイオニアとして広く知られている、アメリカの自転車メーカー。
*注2:マグネシウムは高強度で軽量かつ振動吸収性が高い。ただし腐食に弱い。加工が難しいとされている。

217,800円(税込)フレームセット


次に見ていくのはスペシャライズドのクラックス DSW。アルミのフレーセットで価格は税込187,000円です。
クラックスといえば元々はシクロクロスバイクでしたが、現在はグラベルバイクへと変貌を遂げてモデル名が継承されています。また位置づけとしてはシクロクロスの名残を残しつつ走れるグラベルバイクかと思います。実際このバイクでシクロクロスを走っている選手もいます。つまりそれだけ走れるバイクという証拠だと言えます。

あとはご自身がどういう風に使いたいかだと思います。
先で説明したマグネシウムフレームはやや合成感に欠けるといった面もあるようです。あとはジオメトリーですね。

バーストバイスのA/1フレームは”アップライト”で安定性があって、フェンダーやラックが取り付けられるマウントやアイレットがあるなど積載能力が高いです。アドベンチャーもしくはキャンプツーリングとかにも使えると思います。

一方でクラックス DSWの方は無駄を省いた設計で正確な操作性、また前傾が強めで、踏み込んだパワーが生きるジオメトリーになっていると思います。カーボンクラックス譲りのレーシングフィット、それから*注3.ハイドロフォーミング、*注4.スマートウェルドといった製法によって、アルミフレームの剛性感が向上しています。

*注3:金型内にセットしたチューブに液体を充填し、高圧で押し広げることで複雑な形状に一体成形する加工技術。
*注4:スペシャライズドが特許を取得した製法。従来のアルミフレームよりも2倍の耐久性。高軽量に仕上げることができる。

187,000円(税込)フレームセット


以上のことから結論づけますと、
リラックスして長距離ライド、アドベンチャーを楽しみたいなら前者のバイク。グラベルを速く攻めたい。時々レースにも出てみたいなら後者のバイクを選ぶと良いのではないでしょうか。

最後にご相談者様へ3台のバイクをご紹介したいと思います。
すでにメーカー各社のHPをお調べ済みだと思いましたので、ご相談者様が見落とされているかもしれないバイクを選ばせていただきました。

まずはコナの”ローブLTD フレームセット”です。 

143,990円(税込)


こちらはクロモリフレームのカーボンフォークとなっています。価格が控えめとなっていますので、良いパーツに変えてみるのも良いかもしれません。

次にご紹介するのは”ボムトラックのオーダックスAL フレームセット”です。

143,000円(税込)


こちらはアルミフレームでフルカーボンフォークです。先と同様に価格は控えめなので、かなりコストが抑えられると思います。

そして3台目にご紹介するのが”ダボスのD-309 ネオスポルティーフ フレームセット”です。

187,000円(税込)/限定カラー:198,000円(税込)


こちらは今回登場した5台のバイクの中で、唯一のカーボンフレームとなります。
用途としてはランドナーより速さを求めた快速ツーリングバイクとして。各所にダボ穴が標準装備されていますので積載能力も高いです。
今回のご相談内容からカーボンフレームは見当違いだと思いますが、一応のご紹介とさせていただきました。


最後に、バーストバイクスA/1、スペシャライズド クラックスDSWの2台について個人的な部分でアドバイスをさせていただきますと、
自分ならレースにも使えるクラックDSWを選びます。夏にはキャンプツーリングもするほうですが、パッキングは工夫次第でどうとでもなります。
もしフレーム素材でお悩みでしたら、正直マグネシウム合金はかなり特殊ですので、お取り扱いのあるショップさん、または所有者のインプレッション等をご参考いただければと思います。
アルミフレームに関して言えば悪路やグラベル然り、この先200kmと挑戦していくなかでの疲労感は前者よりも大きかもしれません。ですが例えクロモリバイクを選んだとしても同じように疲れます。

ですので、やはり可能であれば試乗されることをお勧めします。
満足のいく1台に出会えることを心よりお祈り申し上げます。

Matsunaga

炭素繊維の製造や廃棄に、さまざまな問題が指摘されています。僕らにとっては身近なカーボン素材ですが、環境についてあらためて考えさせられました🙌

 

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