「タイレルとタルタルーガ」

BIKE CHECK

「タルタルーガとタイレル」

サイクルパラダイスでたまにお買取り入荷する2つのブランドですが、どちらも個人的にとてもよく出来たマシンだなって常々思ってたところ、たまたま2台が並んでいて気がついた。そういえば2台とも日本のブランドだった。どちらもコンセプトはまったく違うはずなのに、何かその佇まいに製作者の強い思いを感じたので紹介したくなった。2つのブランドとも2000年ちょいに出来たばかりのメーカーで、いずれも日本の人がデザインしている。開発のいきさつまでは紹介出来ないけど、調べてみるととても素敵な、自転車への思いがあった。
タルタルーガタイレル

ミニベロ、フォールディングバイクは様々なブランドが海外に存在する。その歴史は長く、後追いメーカーはどうしても二番煎じが否めないものが多い。けれどもこの2つのブランドの自転車は、実際よく見ると本当によく出来ている。完成度の高さ、意味のあるデザイン、パーツのアッセンブルにも妥協がない、そして実際に乗ってみると確かにそのコンセプトを実感出来る。それは簡単なようで、すごく難しい。試行錯誤の結果がこのデザインなんだと思うと、どちらも決して安価なマシンではないけど、その価値は十分にあるように感じられる。

タルタルーガ
タイレル

2つの自転車は乗り味はまったく違う。簡単に言えば、タルタルーガはコンフォート、タイレルはスポーツバイク。まずはタルタルーガからご紹介。正直に言えば、ギミックにしか感じられないショックユニットは多い。これはユニットの問題もあるけど、それを活かすリンクの強度や角度、デザイン、アイデア、それら全てのトータルの結果だと思う。パッと見ではわからないから色々撮ってみました。

タルタルーガ
タルタルーガ

リヤサスもいいけど、このフロントのサスは秀逸です。モールトン式だけど角度や方式が全然違います。それとリンクがかなり頑丈な作り。フニャフニャした感じはなく、横の剛性もちゃんとある。特にフロントブレーキの配置は素晴らしい。グッドデザインです。車体全体のエッジあるデザインによく似合ってるし、コンパクトなリアのデザインとのバランスもグッドです。

タルタルーガタルタルーガ

リアサス回りの作りはとても屈強。これがフォールディングバイクだと軽量化しないといけないので、ここまで頑丈には作らない。リンクをBBの斜め上に配置してペダリングロスを解消するデザイン。ダウンヒルではないので、平地での進行方向にたいしての、ショックをうまく吸収するようになっている。コンフォートな乗り心地を考えたシステム。

タイレルタイレル

こちらはタイレル。これはFXというタイプなので、折りたたみ出来ます。多くのフォールディングバイクがここのヒンジ機構がぐらぐらですが、この見た目とは裏腹にしっかりとしています。それでいてカーボン製。ですので全体重量が9kgを切るというのは驚きです。小さい自転車だから軽くて当たり前と思うかもしれませんが、現行の折りたたみ自転車はほとんど10kgオーバーです。この軽さがスポーツバイクとして非常に重要です。個人的には自転車は10kgを切ると始めの踏み込みの軽さが段違いに違います。

タイレルタイレル

シートステーとチェーンステー部の写真です。2本のチューブがきれいに合わさって溶接され、キレイに継ぎ目なく処理されています。ここまでくるともはや骨のようですね。人体の一部となるフレームをまさに体現しているようです。ここまでの処理は工場泣かせでしょう。ぱっと見ではわからない、処理の美しさはパッと見た時の印象を良くします。そしてモノの構造として、一つ一つの手間は必ず最終的に性能に現れます。それが見た目のためのコンセプトだけなら別ですが、タイレルで良く聞く評判としての「しっかりとしてる」そういう評価はこういうところにあるでしょう。

タルタルーガタルタルーガ
タルタルーガのラメ具合わかるでしょうか?透明度のあるいい塗装です。ハブ類もしっかりしてます。
タイレルタイレル
タイレルのステム。いやすごいですこの機構。サドルもこだわってますね。トータルコーディネイト力高い。

【タイレルとタルタルーガのおまとめ】

是非興味がわいた人は色々と調べてみてください。とてもここでは書ききれないですが、タルタルーガはリカンベントタイプも出していますし、タイレルにいたっては上のモデルはチタンフレームです。それぞれに細かなパーツも素晴らしいです。特に回転系のパーツはしっかりとしています。ここは重要ですね。それにタイレルのリヤハブのラチェット音はかなり好きな音です。乗っていてかなりロードに近い感覚ですが、それとはまた違った加速の速いスポーツ車に乗っていると言えます。自分の知り合いがタルタルーガを1台持っていますが、最近ではロードではなくタルタルーガで出かける事が多いそうです。どちらの車体も色々と、今回特徴を考えていてわかったのが、この車体でなければ得られない感覚や面白さがあると言う事です。大量生産技術が進歩した結果、様々な種類のモノが生み出される世の中ですが、消えるのも速いのが現在です。それでも消えないもの、消えても語り継がれるもの、そういった自転車に多く出会える事は素晴らしい事です。

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